エクスバイシクルのドン・コルレオーネことY氏より依頼のチーム・バネストで使用された実車。
久々の超級バイクが凄まじいオーラを放ちながら登場です。
バネストはスペイン信用銀行 BANco ESpanol de crediTO(BANESTO)の通称。1990年から2005年にかけてEquipo Banesto (Team Banesto) をサポートし、自転車レースの黄金期をけん引しました。
バネストは数々の華々しい勝利に輝き、まさに伝説のチームとなりました。
その栄光は現モビスターチームに受け継がれています。
F1マシンを彷彿とさせる非常にアグレッシブなフロントビュー。ブルホーンはあえて既製品を選ばず、チネリのクリテリウムをカット。氏のチョイスによる2Aステムが非常に戦闘的です。
トップチューブに入ったRAZESAロゴ。RAZESAはピナレロと同時期にバネストにフレームを供給していたスペインのメーカーです。このバイクはピナレロですが、一時期ピナレロがバネストのフレームにピナレロのロゴを入れることを拒否したため、各所に入れられたジョバンニ・ピナレッロの頭文字「GP」を削り落とし、急遽RAZESAのロゴを入れてレースに出ました。ご覧のとおり、実車はFフォークの肩のGP刻印が研磨されて消えておりますが、よく見るとGPの名残を確認することができます。
ド迫力のシロッコは同じくバネストで使用された本物です。
トップチューブに誇らしげに入れられたDELGADOの文字。1989年にツール優勝を果たしたスペインの英雄”PERICO”ことペドロ・デルガドはこのフレームを駆って1991年のレースに挑みました。
この当時のピナレロのレースバイクのチューブはオーリアが多かったように思いますが、このペリコのフレームはコロンバスのSLXです。おそらくはペリコの要望でSLXを使ったのだと思います。仕事柄、ファニーバイクに触れることが多いのですが、SLXを使ったベンドチューブのファニーフレームはほとんどといっていいほど見たことが有りません。このフレームがどれほど特殊な物なのかが良く分かります。
出来る限りの部分にCレコードの新品を使用。チェーンはレジナのスーパーレゲロ、いわゆる赤缶です。
このあたりも新品は非常に少なくなってまいりました。
ダウンバー&バーコンを使っての8速化も可能だったのですが、ハンドル周りをシンプルにしたいと思い、ブルのみにしてドップラーで7速を引きます。往時のTTマシンらしくシンプルな仕上がりにこだわりました。
ちょっと分かりにくいですが、ひっくり返したチネリのクリテリウムをカットし、中にアウターをエアロ引きでインストールしてあります。かんたんな作業ですが、なかなか手間がかかりました。
ちょうどフレームと同年代ということでカンパのSGRペダルを組んでみました。やや重量が有りますが、クリートを抜くとペダルがロックされて再装着の時にペダルが逃げなくなるという凝った仕組みを持った珍ペダル。当時らしいこだわった造形も良いです。
RDはY氏のこだわりでCレコード一型。刻印RDは良品が本当に少なくなってきました。スプロケットはレジナのCX-S、ケーブルのハンダ付けはI兄貴が担当。なかなか上手になりました^^
氏の合格をいただいて新年明けてからの大仕事が何とか完了。無事に納車を終えてホッとしております。
他のお客様のオーダーも並行して順調にこなしております。
お待たせして、まことに恐縮ですが、一つ一つ丁寧にこなしております。
何とぞご理解のほどよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
それではY様、安全運転で!
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