本日は年の瀬に こちらをちょこっと出品。
年末大感謝!という事で上掲の カンパ最初期型レコードクランクを出品。
いわゆるキングとか御神体と言われる、カンパの最初期型レコードクランクです。
発売は1958年。昭和でいうと戦後13年しかたっていない昭和33年。
当時は目が飛び出るほどのぜいたく品だったそうです。
登場時は現代のようなクランクプーラーが
普及していなかったようで、取り外しに3ツ爪プーラーを使ったりして、
裏面にガリ傷がついているケースが見られます。
こちらは非常に良いコンディション。
オリジナルはアルマイト処理されておらず、サビが回っている場合がありますが、
このクランクは表面も良い状態です。
こうやって見ると良く分かりますが、後期のレコードクランクに比べて、
スピンドル穴周辺の厚みが薄く、トルクをかけ過ぎると
この周辺にクラックが入るという悲惨な(?)事故が起きやすいので、
トルク管理には注意が必要です。
これ以降のいわゆる2型はここがふっくらとしており、
強度を持たせているのが良く分かります。
この1型の個体数が少ない(2型は多い)のは、
当時のカンパが不具合の声を真摯に受け止め
非常に早いペースで改善を行っていたという証左です。
ちなみにこれにはクラックなどは見られず、
非常にスジの良い管理をされていた個体と思われます。
1型の特徴ともいえる、細身のアームとプックリ飛び出した
長穴のペダルアクスル穴。これはフランス系のクランクのデザインを意識したものと勝手に思っていますが、カンパとしてはトルクのかかるペダルアクスル部の強度に不安を抱いていたのか、クランク/ペダルともにアクスルのネジ山が長く、
2次型まではこの長穴仕様が続きます
アルミの材質に改良を加えて強度に自信が出たのか、この長穴はすぐに短くなり、
やがて今の3型以降のフラットなシェイプに代わります。
代わりと言っては何ですが3型以降はアームが横方向に徐々に太くなり、
この傾向は現行のカーボンアームにまで続きます。
1型とともに登場した、アクスル裏を飾るペダルダストキャップはすぐに消滅。
ああ、こりゃ要らねーなとすぐに分かったようです。
御神体オーナーお約束の話ですが、
このキャップを紛失すると、富士ヒルの下りの落車よりも激しい衝撃を受けるので、
2液の超強力接着剤でガチガチにくっつけるか、
分別のあるローディは外してそっと金庫にしまっておくそうです。
ちょっと分かりにくいですが、チェーンリングボルトは今よりふっくらした形で、
ボルトのPAT刻印は小文字。これも勝手な想像ですが、
金型の字が小さいので大量生産で金型の摩耗で字が消えることを恐れ、
作り直したのではないか?と思っています。
なかなか見ることがないアーム裏のアクスル穴とペダルダストキャップ。
キャップはただ圧入するだけなので、これがポロっと落ちると、
帰宅した哀れなローディの情けない悲鳴を奥さんが不思議そうに聞いただろう事は
想像に難くないですね。
当時のチネリやマラストーニによく似合いますね。
今年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます。
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